定義・根拠条文
法律の議論は起点において「定義や根拠条文は何ですか?」というところから入ります。ここでは建設業に関するお話を展開しますから、以下は建設業を念頭に置いていただけると幸いです。
日本は法治国家なので、規制をするにも支援をするにも根拠がないと、建設業者の営業の自由(憲法22条1項)を不当に拘束している(あるいは他業種に比べ不当に肩入れしている)ことになってしまいます。
経審、経審と略称で良く言われるのですが、正確には経営事項審査と呼ばれています。
根拠条文は以下の条文です。
建設業法第27条の23
「公共性のある施設又は工作物に関する建設工事(中略)を発注者から直接請け負おうとする建設業者は(中略)、その経営に関する客観的事項について審査を受けなければならない」
※ 蛇足ながら、客観があるのだから主観もあるのか?となりますが、あります。主観的事項という項目が別途存在しております。それは別論で。
定義は、ここから(解釈で意味充填する形で)導かれております。
(長崎県庁の手引きによると)
経営事項審査制度は、建設業者の信用、技術、施工能力等を客観的に評価する制度である、とされています。
メリットについて(よく言われる最大の利点)
では、経営事項なるものを審査してどうするかというと、点数でランキングを付けて、そのランクに応じた内容や規模の公共工事受注可能性のある立場が付与されるのです(実際は入札で受注するのでその前段階です。いわゆる入札参加資格)。
シンプルに言い切ってしまうと、これが経審を受審する最大の目的でメリットということになります。
ですから、対象者についてもあっさり言ってしまうと、民間工事しか請け負わないという業者さんは無関係ということになります。
条文に、公共工事を元請けしたい人たちは(かなりすぼめていますが)、という限定になっていますので。下請けしかしないという人たちも関係ありません。
(ただ、鼓舞するようなことを後出しでいうのですが、今関係ないからといって、将来目指していけないわけではありませんよね。)
メリット(表題で述べた一つ)
ものの本や、先輩諸氏の指摘によれば、経審を受審するメリットの最大のものは上記の通りで全く異存はないのですが、他にもいくつか列挙できるとされています。
そのいくつかあるメリットのうち、サブメンバー的な(?)メリットのほうをご紹介できればと思います。
実は、他県にもご親戚やご友人、良き好敵手がいて、しかも同業他社をご経営されている・お勤めであるという方がこの文章を読んでくださっているかもしれませんが、まさにそういう方のためのメリットです。いや、冗談が過ぎました。仲良くするだけではなくて、例えば大臣許可を受け他県に進出し競争するための共通の比較用数値、という物差しを得るメリットでもあります。
このメリットは裏ワザというほどのものではなくて、単にあまり知られていないというだけなんですが、経審の客観性は、数値化というだけでは飽き足らず、実は公表サイトがあります。ですので、自分の会社がある地方公共団体だけじゃなく、よその自治体の業者さんとも並べて比較できるのです。地味な知識ですね。
なので、公共工事のベテランからすると拍子抜けする話かもしれません(汗)。
が、「業界全体が高齢化して次世代の若手社長、その傘下に居る社員を育てないと…」という新聞記事にも載るような文脈において、業界発展の契機とするという意味では、若手まで含め満遍なく知らされておいて良い知識なのではないでしょうか。
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私は単に紹介による橋渡し役でしかありませんが、このブログを読んでくれた方のお役に立てれば幸いです。