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建材高騰と出来高融資制度(経審受審のメリット)

ウッドショックの継続

こんにちは。行政書士の山口将俊です。

 

 この記事では(及ばずながら)資金繰りについての便利な視点を平易にお伝えしようと努力しておりますが(制度紹介ですね)、いかんせん税理士さん・公認会計士さんのような会計系の士業ではないので、粗いところはご容赦いただけると幸いです。

 

 輸入材を使っておられる建設業の方には釈迦に説法のきらいがあるかもしれませんが、現状の再確認という意味で、起点に経産省のまとめておられる国際環境分析を援用しておきます。

 

 これも再確認になるのですが、建設業会計において「売上が立つ時点、瞬間とはいつでしょうか」というと、会計用語によれば、「工事完成基準」というのが原則論として通用しております。文字から推し量ることができるように、建物等、工事の客体が完成し・引き渡し・対価を得たらその時点を以て、まとめて売上とカウントするものです。【反面、工事進行基準という物差しに依るとした場合は、各期の完成部分が都度、部分的な売上になります。※この進行基準は会計業の界隈では既知の通り、既に廃止(置き替え?)されたものです。ここでは複雑化回避のため、敢えて捨象しています

 

 完成品納品で売上とすると、誰にも文句が言えない客観性がありますが、建設業者から見て、代金を受領するうえでは不都合があります。

 

 ご存知の通り、建設は中長期にわたることがザラですので、その間は代金が入らなくても他責できず、「さあ持久戦だ」ということになってしまいます(もちろん、巷のイメージ通り、完成すれば大きな金額が入るわけですが)。

 

 この文脈で、原価が跳ね上がる旨、外的環境分析をする経産省の指摘は頭痛の種だろうと推察されます。完成するまで、いつもより余計にお金が出ていくばかりだからです。

公共工事の前受金

 これはブログタイトル後段への橋渡しみたいな小見出しなのですが。

 

 上記の通り、一般論では、工事の完成まで自腹を切るのが建設業の通念のはずが、公共工事を請け負えると認定された業者さんは、政府(中央政府・地方政府)から請負代金の3割から4割が先に提供されるルールがあります。

 

 この点一つとっても、経審を受審するメリットありなのではないかなあと思われます。既に公共工事を請け負っておられる方々には目新しくない話で恐縮ですが…。

出来高融資制度  ※末尾にリンクあり

 ところが、建設業の方々になんらの過失がなくても、あたかも自動車事故の文脈における「もらい事故」のようなことが、外的環境によりもたらされることはありえます。少し前のリーマンショックであったり、上述のウッドショックだったり。

 

 せっかく上述の特典として前受金を受け取っていても、異常な値上がりのせいで、いつも通り仕入れするだけで消し飛んでしまうことがありえるのではと推察いたします。

 

 そこで小見出しの出来高融資制度に、出番の余地があります(国交省のページ)。

 

 リンク先にあるように、大本は、地域建設業経営強化融資制度というもので、その一環として提供されています。(平成20年から存在するので、公共工事のベテランには目新しくないかもしれません…。)

 

 もちろん制度なので要件はありますが、銀行融資と異なる最大の特徴は、公共工事の請負代金債権を、(自分の土地家屋に抵当権をつけることなく)担保にできるという点です。

 

 まだ出来上がっていない工事の代金債権を差し出す代わりに現状必要な資金が借り入れできるのです。代金が政府から支払われる際には、借りた金額は回収されますけれども、残額は手元に戻ります。

 

 銀行から抵当権実行されてしまう恐怖に比べればかなりマシなのではないかなあと思われます。

 

 また、経審を受審するに際して、経営状況分析をしてもらう必要がありますが、この出来高融資制度による借り入れは、「負債回転期間」という指標における負債総額から控除してもらえます。いわば借金をしたにもかかわらず(今後の)経審において点数が下がらないメリットがあります。

 

 一般財団法人 建設業振興基金さんのホームページにて制度概要のパンフレットだったり融資事業者のリストをダウンロードできます。事業者には大別して協同組合によるものと、民間企業とで大別できるようです。前者は、当該組合員になっていることが前提で、後者は加入要件のようなものはなく純然と要件充足だけを見るようです。上述の国交省のページからもジャンプできるのですが、こちらにも改めてリンクを貼っておきます。

 

 単なる制度紹介文ではありますが、なんらか橋渡し役になれたら幸いです。